2021.1.10 お相手:梅木力さん
国道343号線を走っていると巨大な2つの岩肌を見ることができます。それが今回紹介する千把萱(男神/せんばがや)とその対岸にある女神岩です。
この岩肌、近くで見て頂ければ分かりますが迫力が凄いです。そのゴツゴツとした荒い岩肌もさることながらその高さにも驚かされます。更にこの千把萱には、地元の人にもあまり知られていないある伝説があるのです。
尚、千把萱について、現在地図上では、“仙婆巌(せんばがや)”と記載されることが多いです。
実は、千把萱には地元の人もあまり知らない伝説があった
昔、ここに性格の良くない女性が住んでいたそうです。その女性には、二人の子供がいて一人は、先妻の子供、そしてもう一人は、自分の子供でした。この女性は、自分の子供には、なに不自由なく生活をさせていました。しかし、先妻の子には、動物にもしないような酷い仕打ちをしていたそうです。そして父親が亡くなり、父親の遺産相続も相まって先妻の子に対する態度は、更に酷くなりました。
そして彼女は、とうとう先妻の子を男神から落として殺そうと考えたのです。近所の人には、夢で“神の知らせ”が有ったと言いふらしました。
そしてその日が来ました。我が子には、怪我がないように全身を柔らかい綿で包み、更に千把もの萱を巻いてすぐ上がれるように川の浅瀬の方へ、逆に先妻の方には、少しの萱だけを巻いてわざと川の深いところに落とそうと考えたのです。
そして彼女は、男神から先妻の子と我が子を同時に矢作川めがけて投げ下ろしました。
しかし結果は、我が子が絶命してしまい、あれだけ憎んでいた先妻の子は、かすり傷一つすら無く元気に川から這い上がって来ました。この結果に彼女は、気が狂いそのまま二人の子供を落とした男神から飛び降り死んでしまったそうです。
語り継ぐ人が少ないという現実
取材をさせていただいた梅木さんは、「このような伝説や歴史があるのに、語り継ぐ人がほとんどいない」といったことをおっしゃっていました。
私も取材をする上で千把萱のことについて高校生にも聞きましたが、特に若い世代の人は、地元の歴史に興味が無い人が多く私自身も今回取材をしていく上で初めて知ったことも多くありました。
昔の陸前高田市について知っている世代の人も減ってきているので震災のことも忘れない為にもこれらの歴史を若い世代の人達が語り継ぐことが重要だと感じました。
取材者:けせん地域取材チーム ささはる
陸前高田市で生まれ高校生まで陸前高田市に住む。大学に進学し、地元を離れる。10年程電気工事に関わる仕事をする。39歳に陸前高田市に戻り農業をする。