けせん震災と昔の記憶

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震災
ガス屋さん〜災害時のライフライン〜

見出し「震災」

2021.1.13  お相手:松井貞昭さん

 私たちの生活に欠かせないライフライン。電気・ガス・水道。東日本大地震では 当たり前に使えたライフラインの崩壊に大変な生活を強いられ、普通の生活がどれだけ幸せな事かを思い知らされた方も多いのではないでしょうか。今回は、その中でもプロパンガスに焦点を当ててみました。大船渡市のガス屋さん、株式会社三重商会社長・松井貞昭さん(88歳)にお話を伺ってきました。

震災時とガス

 東日本大震災では停電・断水が起こり、沢山の人が不便を強いられていましたが、ガスだけは使うことができるという施設や家庭も多くありました。
 家やお店と共に、流出したガスボンベもありましたが、家々に設置されているガスボンベは、残りがあるうちは使うことができ、暖をとったり、お風呂を沸かしたり、調理の際にと、普段通りに使うことができ、電気や水道が使えない中、多くの人の生活を支えました。
 プロパンガスが主流の大船渡は、流された数も凄かったのですが、錆びていないボンベもあり使える物もあったそうで、都市ガスとは違い、すぐにどんな場所でも使える便利さが沢山の方を助けた。

プロパンガスの歴史・成分と性質

 1929年に日本に持ち込まれたプロパンガス。
 9年後の1938年には自動車用燃料として使用され始め、家庭用燃料として使用され始めたのは、日本に持ち込まれてから15年後の1953年でした。
 そこから8年後の1961年にはプロパンガスの輸入がはじまり、増えた需要に対応できるようになり、一般家庭に供給が広く行き渡るようになりました。

三重商会1

 LPガスは石油ガスを液化したもので、体積は気体の時の約250分の1になるので、効率よく運べます。主成分は、プロパン(C3H8)がもっとも多くプロパンガスとも呼ばれ、ガスライ炭素(C)の原子数が4以下の炭化水素(CH)の混合物です。空気の1.5~2倍の重さで、家庭などでLPガスが漏れた時は、床面をはうように広がり、低い場所にたまる性質があるので、万が一ガスが漏れた際は、下方の風通しを良くし、屋外に出すようにします。本来は無臭で、ガスが漏れた時に気づくように、ガス特有のにおいをつけており、正しく使われている限りは臭うことはありません。

三重商会2

震災時、松井社長は…

 震災時、自宅でゆっくりしていたら突然地震が来てサッシの大きなガラスが落ちて来たので、これはまずいと従業員を帰し、鴨神社に避難とも考えたが、車で遠くの高い場所へ逃げた。
 三重県出身である松井さんは、昭和19年(1944)12月7日に起きた東南海地震での津波を始め、4回も津波を経験されている。
 松井さん曰く津波から自分の命を守るのは簡単だと。「とにかく津波は、1人1人が何も考えず、とにかく高い所に逃げる事」と話してくれました。

LPガスのメリット・人と環境にやさしい

 石油・石炭・天然ガス・LPガスの中で、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量は少なめで、燃焼時に出る排気ガスは、人体に有害な物質をほとんど含まない。環境問題や温暖化にクリーンなエネルギーです。しかも 都市ガスよりもカロリーパワーがあります。
 そして災害時に強い。ボンベでの供給形態になっているので、災害にも運びやすく1ヶ月程度持ちますので安心です。1戸単位で安全を確認して復旧が可能なため、復旧までの時間が短いというのも強みですね。

今後の大船渡への思い

 「私はもう歳だから何も言う事はないが、若い人達が、今の世の中にあったやり方でやりたい事をどんどん頑張って欲しい。イベントやお祭りは、街が明るく元気になるので、今のコロナ禍は仕方ないが やれる時を楽しみにしている。」と話してくれました。

取材者:けせん地域取材チーム あ~きぃ

プロフィール写真

松井貞昭さん


大船渡市の株式会社三重商会、88歳にして現役の社長。三重県出身で4回もの津波を経験している。