2020.12.11 お相手:新沼玲さん
東日本大震災がもたらした農林産業被害額はおそよ2兆4268億円。 岩手、大船渡でもワカメ養殖地域の三陸海岸は、大震災で壊滅状況に陥りました。 3月頃に2m程度に成長したものから、収穫直前のワカメ、秋からの養殖に使う種までもがほとんど津波に流されてしまった為、一時は三陸のワカメは手に入らなくなるのでは、という情報も流れていました。
海産物を通じて地域を応援
大船渡市盛町出身のご主人と、2009年に沖縄から大船渡に移住した新沼玲さんは、震災を機に大船渡を盛り上げようと内閣府の助成金プロジェクトを活用して「沖縄キッチンカーゆいまーる」を起業しました。 イベントやお祭りでは、ワカメをふんだんに使ったオリジナル商品「わかめてんぷら~」が人気で、パリパリの食感で、おやつにも、シバデ(酒のつまみ)にも最高の商品。ワカメは、酢の物やみそ汁で使用するのが一般的ですが、一度に使う量は5g程度がほとんどで、わかめてんぷら~は1個あたり15gの塩蔵ワカメを使うメニューなので、ワカメの大量消費にもつながると考えました。
わかめてんぷら~
わかめてんぷら~のレシピ
沖縄名物のもずくの天ぷらをアレンジしわかめてんぷら~を開発。秘蔵のレシピを公開して頂きました。
材料
塩蔵ワカメ250g
玉ねぎ1個
人参1/2個
卵2個
※小麦粉100g
※だしの素5g
※ベーキングパウダー5g
※塩3g
炭酸水15cc程度
塩蔵ワカメの塩抜き
※は、混ぜておく。
ワカメは、揉み洗いをしながら塩を抜き、大きめに切る。この時に戻しすぎない事がポイント。
玉ねぎと人参は細切りにしておく。
ボールに卵を入れて溶き、ワカメ、玉ねぎ、人参を入れて絡める。
※を少しずつ入れて混ぜる。
炭酸水で、揚げやすい硬さに調整する。
170℃の油で、形を整えつつ揚げる。
天ぷらがパリパリに揚がったら完成。
大船渡のワカメを全国へ届けたい
2010年には養殖ワカメ全国生産量の75%を占めるなど三陸を代表する沿岸漁業の一つと位置づけられるとともに、三陸ワカメは高い評価を得ています。 震災前に比べてワカメは価格が急増し三陸ワカメの価格は3倍にも高騰しました。 更に消費は少なくなりワカメ産業は大変だと仕入業者から聞いています。 更に地元の方やワカメが取れる地区では比較的、いただきものなどが多く購入する事も少ない為、沖縄などワカメが取れない県や地域などに三陸ワカメのアピールが必要と考えました。
三陸ワカメを使った商品の販売風景
ゆいまーるのタコスも絶品です
三陸の美味しいワカメを使ったわかめてんぷら~は、材料もシンプルで老若男女問わず、ワカメを沢山召し上がれる自慢のレシピです。 これからは、調理講習会などを企画し沢山の方にわかめてんぷら~を伝授して行きたいと共に、県外での販売や講習などもして行きたいと太陽の様な満面の笑顔で話してくれました。
取材者:けせん地域取材チーム ジョー
新沼玲さん
大船渡市在住。2009年11月、第2子出産を機にご自身の生まれ故郷沖縄からご主人の出身地である大船渡に転居しました。 大船渡市内の老人ホームで子育てと仕事の両立に奮闘する中、東日本大震災を経験し、これからの大船渡を盛り上げようと一念発起しキッチンカーを立ち上げ、現在まで続いています。 「いちゃりばちょーでー」のうちなんちゅ精神で出会った人々を魅了する太陽の様な笑顔に沖縄料理の商品よりも新沼さんの人柄に惹かれて追いかける熱烈なファンが多いのも頷けます。※「いちゃりば=出会えば」「ちょーでー=兄弟」